
2025年8月30日
猫の皮膚炎が漢方薬で良くなった例
皮膚炎で困っている動物は多いです。痒みで動物たちの生活の質も下がってしまいますし、痒がっている動物をみて心を痛めておられる飼い主様も多いですね。
動物病院にいくと、皮膚炎の原因の検査をされることが多いです。感染症なのかアレルギー性なのか、ホルモンの異常なのか複合的なものなのか。。原因は様々です。精神的なものもありますからね。検査の前にはシャンプーは控えておきましょう。大事な原因物質が洗い流されてしまうかもしれないからです。
痒みを抑えるお薬の代表的なものとして、抗生物質、抗真菌剤、ステロイド剤、シクロスポリン製剤、抗体薬などが挙げられます。1週間ほどですぐに良くなる場合もあれば、慢性化してずっと内服を飲まさないといけない場合もあります。慢性化した場合に強い薬を飲み続けると、肝臓や腎臓などに負担がかかってしまったり、腸内環境が悪化し免疫力が低下していろんな病気にかかりやすくなったりします。本当に薬は使い方だと思います。
さて今回漢方薬が良く効いている猫ちゃんがいるので皆様にご紹介します。
まだ治療の途中ではありますが参考になればと思います。
日本猫(Kちゃん)、17歳、避妊♀
10歳になるまで動物病院にお世話になることがないくらい元気だったKちゃん。ある時海外のフードを食べてから、急に皮膚が敏感になってしまいました。痒みが出てかきむしっては病院に行き、ステロイドと抗生物質が処方されました。初めは薬が良く効いて薬を飲むとすぐに炎症が引いて、しばらくは再発無く過ごせていました。だけど皮膚炎の頻度が段々上がってきて、薬もだんだん効かなくなってきました。高齢になりあまり強い薬を使いたくなかった飼い主様は、東洋医学での治療を希望され来院されました。

皮膚炎は頭部がひどかったですが、お腹にも炎症が起きてました。

ステロイドと抗生物質をゆっくり止めて、漢方薬とマコモ液に切り替えていきました。まずは消風散と当帰芍薬散を混ぜたものを3週間ほど飲ませてみて、痒みが引いてきてゆっくりとかさぶたになって良くなりそうと思っていたら、4週目で何故か急に痒がり出してまた同じ状態に戻ってしまいました。
そこで漢方薬をガラリとかえて十味敗毒湯のみにしてみました。1週間飲ませてもあまり変化がなかったので、2週目には十味敗毒湯と当帰芍薬散を混ぜたものにしたところ、みるみると良くなっていきました。2週間飲んだ時点の写真が次のものです。



ドライフードを食べると痒みがひどくなっていたKちゃんは、手作り食にしたりウェットフードにしたりフードでも苦労してきました。私と出会ったときは瘦せていたのですが、今はドライフードを食べても痒みがひどくならないので少しずつ体重が増えて若返ってきました。
体の余分な熱をとる漢方と、血液の汚れをとる漢方の組み合わせで、Kちゃんの皮膚はどんどんきれいになっています。マコモ液は患部に塗布したり飲料水にも少し混ぜてもらってます。
とにもかくにも漢方薬を飲めるKちゃんが素晴らしいですよね!飼い主様が粉の漢方薬を錠剤にしてくれてます。その手間に頭が下がります。
西洋の治療だけでは治らない場合にも東洋医学を取り入れて見て下さい。